文献詳細
文献概要
特集 第34回日本臨床眼科学会講演集 (その3) 学会原著
高血圧を伴った動脈硬化症,糖尿病性網膜症,網膜静脈閉塞症における脂質動態—とくにHDL-CHについて
著者: 石川隆1 樋渡正五1
所属機関: 1防衛医科大学校眼科
ページ範囲:P.399 - P.406
文献購入ページに移動糖尿病性網膜症をScott III期を中心に軽症,中等症,重症に分類すると各群でコントロール群に比しHDL-C値は有意に低下した(p<0.01)。また中等症・重症は軽症に比し明らかに低値を示す傾向を認めた。
血糖コントロール別ではHDL-C値,HDL-C/T-cholはコントロール群に対し各群とも有意差をもって低下したが(p<0.01),good群とpoor群の両者に有意差は認めなかった。
糖尿病のみの群においても,コントロール群に比しHDL-C値,HDL-C/T-cholは共に有意差をもって低下し(p<0.01),高血圧あるいは細動脈硬化を合併すると,さらに低下する傾向がみられた。
コントロール良好の患者でも治療に抵抗して反復出血を来たす症例ではHDL-C値が著しく低値を継続した。
以上よりHDL-C値の動態を見ることにより糖尿病性網膜症の発症,進展の指標とすることができ,臨床的に応用されうる価値があると示唆される。
掲載誌情報