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特集 第34回日本臨床眼科学会講演集 (その3) 学会原著
増殖性糖尿病性網膜症の初期像と発症機作
著者: 北川道隆1 村岡兼光1 蓮沼敏行1 仁木高志1 小林義治1
所属機関: 1群馬大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.457 - P.470
文献購入ページに移動検索方法として広範囲パノラマ螢光造影を用い,各症例の眼底を乳頭を中心に放射状に32等分,同心円状に1乳頭径ずつ等分し,その各区域単位毎に血管の拡張および透過性亢進をその程度により0,1,2の3段階に分けデジタル表示した。さらに各例毎に乳頭縁より鼻側では3乳頭径,耳側では4乳頭径の範囲内の112の区域単位における血管の拡張ならびに透過性亢進の程度の各合計点数を求め,それを全例で度数分布に示した。
初期の増殖性網膜症には,RPCを含む後極部に血管拡張・透過性亢進の強いtypeと弱いtypeがあった。合計点数40〜50を境として,それより強い群27眼と弱い群32眼に分け両者を比較検索した。拡張・透過性亢進の強い群では,一つ一つの血管床閉塞は比較的小さいのに対し,弱い群では中間周辺部を中心に血管床閉塞域は広範囲であった。また光凝固をせずに経過を追えた26眼で,両群の網膜症の進行速度を比較した。拡張・透過性亢進の強い群14眼中10眼(71%)では,明らかな血管床閉塞の拡大があり,新生血管の増大も8眼(57%)に観察された。なかでも特にRPC領域に拡張・透過性亢進の強い例で高度であった。一方,弱い群12眼では,血管床閉塞の拡大や新生血管の増大はほとんどみられなかった。
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