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特集 第34回日本臨床眼科学会講演集 (その4) 学会原著
糖尿病性網膜症の経過
著者: 菅謙治1 浅田幸男1 坂本禎之1 奥田隆章1 四宮栄江1
所属機関: 1北野病院眼科
ページ範囲:P.535 - P.540
文献購入ページに移動新生血管の発生には網膜のhypoxiaに加えて硝子体の関与が必要であり,線維組織の形成は血漿蛋白と硝子体と網膜由来の結合組織形成細胞の三者によって形成されると考えられた。したがって,硝子体剥離の完成しているものでは,PDR (新生血管)は発生しないし,また,すでに新生血管が発生しているものでは線維組織は形成されなかった。線維組織は硝子体後面と強く癒着しているから,線維組織が形成されたものでは,硝子体剥離がおこると,網膜剥離,新生血管や網膜血管の断裂による硝子体出血などをきたした。硝子体出血が生じると,やがて硝子体が変性して硝子体剥離が増強し,新たな硝子体出血をきたした。一般には,これをくり返して網膜症が進行した。しかし,まれには強大な線維組織が形成されたまま,硝子体剥離や出血が停止し,網膜症が固定したものがあった。これを坪期固定型と命名した。
SDRは,硝子体剥離発生前には徐々に進行するだけであったが,硝子体剥離が始まると悪化し,硝子体剥離の終了とともに鎮静化し,その後はしだいに軽快するものと,徐々に悪化するものとに分かれた。
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