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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科35巻4号

1981年04月発行

文献概要

特集 第34回日本臨床眼科学会講演集 (その4) 学会原著

内斜視の成因と治療

著者: 三井幸彦1 田村修1 大賀真理子1 石本寛子1 浅井香1

所属機関: 1徳島大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.607 - P.610

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 内斜視はいくつかのfactorが複雑に関与しておこっているために全てを解明することは容易ではない。しかし少なくともconstant esotropiaが起こるstepにはproprlo—ceptionが関与していると考えられる。このproprioceptionの異常に対して臭化プリフィニウム(Padrin®)の内服と,もう一つのfactorである調節性の輻湊過剰に対して臭化ジスチグミン(Ubretid®)の点限を併用して内斜視の治療を試み,次の結果を得た。
(1) PadrinとUbretid併用療法を行った,手術の既往のない23例中2例では内斜視が消失して正位となった。この2例はその後半年以上観察しているが経過は良い。臨床的にはほとんど効果が認められない例でも,全麻下では眼位および筋電図所見が改善されていた。
(2)内斜視手術後,手術効果が固定した時点で残存している内斜視にPadrinとUbretid併用療法を行うと,2例中2例共内斜視が消失して正位になった。またPadrinとUbretid併用療法を行って臨床的に効果がなかった例に手術を併用すると,手術の効果は大きく,安定しているように思われた。
 内斜視の成因は複雑であるから全てのfactorを完全に取りのぞくことは困難であろう。しかしPadrinとUbretid併用療法はそれだけで内斜視が消失する例もある。効果が認められなくても手術と併用すると手術の効果が大きく,かつ安定する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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