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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科35巻4号

1981年04月発行

文献概要

臨床報告 カラー臨床報告

点眼麻酔剤の濫用により重篤な眼症状をきたした症例

著者: 坂牧洋子1 宇山昌延1

所属機関: 1関西医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.655 - P.658

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 コンタクトレンズ装用により発生した疼痛軽減を目的として使用した点眼麻酔剤,特に塩酸オキシブプロカイン(ベノキシール®)の濫用により,流行性角結膜炎の急性期を思わせる著しい急性結膜炎症状と角膜のびらんおよび実質の浮腫を発生し,激しい眼痛のため自制不能の状態となり,点眼麻酔剤の急性中毒に陥っていた1症例を経験した。
 点眼麻酔剤から離脱させるために,入院させ,カクテル麻酔として塩酸クロルプロマジンおよび塩酸プロメタジンの筋注により強制入眠させたところ,12時間後覚醒時には眼症状は著明に改善し,その後後遺症を残さず治癒した。
 塩酸オキシブプロカインをはじめとする点眼麻酔剤を頻用すると,激しい眼痛と急性結膜炎および角膜障害を生じ,急性中毒症状になる。その使用から離脱させることは容易でない。人院の上,強力なカクテル麻酔を投与して強制入眠させ離脱させるのがよい方法と思われる。
 また点眼麻酔剤を患者に処方すると濫用に陥り,このような中毒症になる危険性があるので十分注意したい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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