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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科35巻4号

1981年04月発行

文献概要

手術ノート

白内障嚢内法の硝子体脱出防止

著者: 永田誠1

所属機関: 1天理よろづ相談所病院

ページ範囲:P.686 - P.687

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 白内障嚢内摘出術における硝子体脱出率は2%ないし3%以下に抑制することはできても零にはならない。これはどのように注意深く手術しても硝子体前境界膜(膜ではなく層と呼ぶべきであるが一応慣習に従って膜としておく)が極めて弱い症例というものが必ずあるもので,水晶体全摘直後前房が急に深くなるような形で前房内に硝子体脱出を起こしてくる。こんな例ではアセチルコリン溶液を注入すれば瞳孔は直ちに正円となり縮瞳後前房内に空気を注入しておけば特に不都合なことは起こらない。問題となるのは水晶体娩出と同時に起こってくる正常な前境界膜をもった硝子体gelの脱出である。このような典型的なvitreous lossは適切な対策を講ずればほとんど零にすることができる。最近は硝子体手術器械があるから起こっても平気と楽観的になる人があるが,たとえvitrectomyを行って瞳孔正円となっても,角膜内皮を障害したり,黄斑部類嚢胞浮腫や網膜剥離の発生率のことを考慮すると決して安心はできない。
 硝子体脱出の防止に最も大切なことは眼瞼アキネジー,球後麻酔を十分きかせて眼球壁に加わる外力を極力低くすることである。できれば眼瞼アキネジーはO’Br—ien法やAtkinson法のような伝達麻酔を行う方がVanLint法よりも確実なアキネジーが得られる。筆者はVan Lint法を以前用いていたがO’Brien法を採用した後瞼アキネジーの効果に明瞭な差を感じた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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