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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科35巻5号

1981年05月発行

文献概要

特集 第34回日本臨床眼科学会講演集 (その5) 学会原著

急性出血性結膜炎の流行と中和抗体価について

著者: 原二郎1 藤本房子1 檀上真次1 瀬口聡子 峯川好一2 大津啓二2 山崎謙治2

所属機関: 1近畿中央病院眼科 2大阪府立公衆衛生研究所

ページ範囲:P.741 - P.746

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 1979年2月13日から3月6日の問に,当院眼科で多数発見された急性結膜炎の原因につき,細菌学的およびウイルス学的に検討を行った。結膜嚢および咽頭からのウイルス分離は陰性であったが,血清反応からenterovirus 70型による急性出血性結膜炎(AHC)の流行が証明された。血清学的にAHCと診断できた25例の臨床的特徴は,10年前の大流行に比べ結膜下出血の頻度が少なく,出血があってもその程度が軽いことであった。
 当院職員および受診患者のAHCウイルスに対する中和抗体保有率を検討したところ,対照群では抗体保有率は10%以下であったが,AHCの流行した病棟の看護職員では結膜炎がないのにかかわらず,66.7%と著明に高かった。血清疫学的にみてAHCの不顕性感染の可能性が示唆された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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