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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科35巻5号

1981年05月発行

文献概要

特集 第34回日本臨床眼科学会講演集 (その5) 学会原著

慢性関節リウマチ金療法による角膜金症について

著者: 勝呂慶子1 霜鳥政光1 松井宣夫2 勝呂徹2

所属機関: 1千葉大学医学部眼科学教室 2千葉大学医学部整形外科学教室

ページ範囲:P.779 - P.785

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(1)慢性関節リウマチ(RA)にて金療法施行中の症例81例につき眼科的検索を行ったところ,30例に角膜金症を認めた。
1)総投与量1,500mg以上では,32例中24例に角膜金症を認めた。投与期間2年以上では41例中29例に沈着を認めた。
 総投与量および投与期間と金沈着の程度には,相関関係を認めた。
2)血中濃度および1回注射量と角膜金症との間には,相関関係を認めなかった。
3)生体角膜内皮撮影装置にて,角膜実質に黄褐色の光輝性粒子を認めた。
(2)白色家兎6羽に100mg/kgのGold Sodium Thiomalate (GTM)を筋注し,臨床的検索,眼組織の金含有量測定,組織学的検索を行った。
1)家兎角膜には,人眼にみられるような金粒子の所見は認めなかった。
2)涙液,房水,硝子体に金が検出された。
3)光顕的検索で,角膜,結膜,強膜,ぶどう膜,外眼筋,涙腺,Harder腺に金染色陽性顆粒を認めた。
4)電顕的検索にて,角膜実質細胞,内皮細胞,膠原線維間に電子密度の高い顆粒状,針状の物質を認めた。
 以上より,角膜への金沈着ルートとして,涙液,輪部血管,房水の可能性を考えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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