文献詳細
特集 第34回日本臨床眼科学会講演集 (その6)
学会原著
眼瞼部悪性腫瘍について—九大眼科における過去20年間の症例の検討
著者: 安倍正弘1 大西克尚1 原雄造1 篠田泰治1 神宮賢一2
所属機関: 1九州大学医学部眼科学教室 2九州大学医学部放射線科学教室
ページ範囲:P.913 - P.919
文献概要
(1)病理組織学的分類は扁平上皮癌24例,基底細胞癌14例,腺癌6例,悪性黒色腫2例,悪性リンパ腫1例であった。基底細胞癌が圧倒的多数を占めるとする従来の報告とは異なり,扁平上皮癌が最も多く認められた。
(2)患者の平均年齢は,扁平上皮癌65.7歳,基底細胞癌70.3歳,腺癌65.3歳といずれも高齢者に多く認められた。
(3)男女差は特に認められなかった。
(4)発生部位別では,扁平上皮癌は上限瞼に,基底細胞癌は下眼瞼に多く認められた。また腺癌では全例上眼瞼に発生していた。
(5)経過観察のできた37症例のうち再発および転移はそれぞれ3例ずつ認められた。また原病死は2例に認められた。
(6)転移をきたした3症例は全て良性の腫瘤として安易に処置された既往があり,組織検査ならびに初回治療の重要性が再認識された。
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