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特集 第34回日本臨床眼科学会講演集 (その6) 学会原著
視覚誘発脳波による視的学習利得の研究—1.方法の開発と誘発脳波の後期成分について
著者: 市橋進1
所属機関: 1川崎医科大学眼科学教室
ページ範囲:P.987 - P.993
文献購入ページに移動刺激方法としては,単語の有意性を判断する方法と,有意な単語から更に選択作業をする課題視を負荷した方法である。用いたひらがな3文字は日本人に対して万人向き刺激方法であるが,学習という点では低次元の判定をしているものと考えられた。
結果として,成人ではvertex potentialで,意味のある無しにかかわらず波形成分の差は認められず,小児では意味のない変形図形でN1,P2潜時の延長とN1—P2振幅の明らかな低下を認めた。これは被検者の関心の違い,すなわち注意力の差に由来するものと考えられた。次に被検者に課題視させた時に,成人と小児共にP300成分が出現した。しかし小児は成人に比べて頂点潜時が延長しており,文字を見てからの判断および決定が遅いためであると考えられた。
以上のことより視覚誘発脳波の後期成分であるvertex potentialは文字認識の最も基本的な反応であり,認識過程の第1段階を示し,次いで出現するP300は判断,決定といったより高次の認識過程を反映したものと考えられた。
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