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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科35巻6号

1981年06月発行

文献概要

特集 第34回日本臨床眼科学会講演集 (その6) 学会原著

色光VECPの臨床応用に関する研究—正常者ならびに視神経疾患について

著者: 白川昭人1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学眼科

ページ範囲:P.1001 - P.1007

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 輝度1000troland,視角10°の白色背景下で,波長440nm,540nm,および610nmの3色光を,視角1°の刺激光として与えた。刺激光は自覚閾値から,0.25あるいは0.5対数間隔で,2.0または4.0対数単位閾上値まで変化させ,その時のVECPを測定した。
(1)正常者では,波長440nmを刺激光としたP1出現閾値は,1.25対数単位閾上値であり,波長540nm,および610nmを刺激光とした出現閾値は,0.5〜0.75対数単位閾上値であった。以上より,短波長光での刺激は,中波長ならびに長波長光刺激とは,VECP出現に関し異なった機構を有するものと推察した。
(2)視神経疾患群の健限におけるVECPは正常者とほぼ同様の傾向を示した。患眼で健眼と比較すると,自覚閾値よりP1出現閾値までの刺激光の増加量に関し,短波長光刺激では差がなく,中波長光では1例に,さらに長波長光では2例とも著明な差を認めた。刺激時間200msecでは.刺激時間10msecに比べて,自覚閾値よりP1出現閾値までの刺激光の増加量が,3色光とも一層大きなものとなり健眼と比較し,約1.0〜1.5対数単位の差を認めた。
 以上より,白色背景下における中心窩単色光刺激法による刺激時間200msecのVECP測定は,視神経疾患での視覚伝導路障害の有無に関する病態診断に有意であると考えられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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