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臨床報告
文献概要
外血液網膜柵病変を有する患者に対しステロイド剤内服治療が行われ,特異な経過をたどった3例の症例につき検討した。第1例は原田病で,ステロイド剤投与で炎症性変化は急激に改善したが,1眼の不整な螢光色素漏出点は円形の漏出点となり,黄斑部に円盤状の漿液性剥離を有した中心性漿液性網脈絡膜症に移行した。第2例は原因不明の円盤状黄斑変性症で,ステロイド剤投与中に黄斑部病巣に漏出点を有する円盤状漿液性剥離を認め,本剤の減量中止によりこれは消失した。第3例は両球後視神経炎と1眼の脈絡膜症を有する患者で,これに対しステロイド剤の投与を行ったところ,脈絡膜症の部位から螢光色素の漏出が発生し,滲出性剥離が生じ,ステロイド剤減量中止により治癒した。以上よりステロイド剤は外血液網膜柵に病変部位を有する疾患に対し,この部を破綻させる方向に作用しうることを示唆した。したがって,とくに原因不明の外血液網膜柵病変に対するステロイド剤の使用は慎重でなければならない。
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