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連載 眼科図譜・284
ハンセン病の眼病変—II.虹彩
著者: 藤田晋吾1 吉村睦雄1 大庭紀雄1
所属機関: 1鹿児島大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.1086 - P.1087
文献購入ページに移動虹彩毛様体炎は,ハンセン病の発病初期からおこるが,最初は自覚症状にとぼしい。すなわち,虹彩は一見正常であり,少量の前房微塵,水晶体表面の色素沈着,瞳孔光線反応の遅鈍などをみる。炎症はきわめて慢性につづくため,しだいに異常所見が明らかとなる。毛様充血は軽く,前房には細かな微塵が浮遊し,角膜裏面に露滴状もしくは細かな点状沈着物をみる。瞳孔はしばしば棒針頭大に縮小し,光線反応の欠如,瞳孔薬に対する反応の欠如が特徴的にみられる。虹彩色素が一度に大量に脱落して前房蓄膿の観をみることもある(図1,2)。経過とともに,虹彩の紋理や光沢はしだいに失われる。虹彩の表面,とくに瞳孔縁の近くで,粟粒大もしくは稗粒大のらい腫(iris pearls)の出現をみることもある(図3)。数年〜数十年が経過すると,虹彩萎縮はきわめていちじるしくなり,偽多瞳孔(pseudopolycoria),蝶の羽形状,車軸状の孔形成による独特の瞳孔がみられる(図4,5,6,7)。虹彩前癒着,虹彩後癒着,併発白内障も生じる。
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