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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科35巻7号

1981年07月発行

文献概要

特集 第34回日本臨床眼科学会講演集 (その7) 学術展示

Behçet病眼内肉芽形成と網膜色素上皮病変

著者: 岸章治1 米谷新1 大西直人1 堀内知光1

所属機関: 1群馬大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1139 - P.1148

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 Behçet病の眼内炎の結果,絶対緑内障に至った5眼を組織学的に検討し,次の結論を得た。
(1)眼内に形成された肉芽組織はぶどう膜由来であり,色素上皮の破壊されたvitreousbaseおよび色素上皮の生理的欠損部である虹彩前面と隅角から発生する。
(2)色素上皮はfibroblastの侵入に対するbarrierとなっている。色素上皮が連続性を有する後極部ではfibroblastは色素上皮直下で留まりそれを越えない。
(3)色素上皮はリンパ球,好中球,macrophage等,遊走細胞の通過を自由に許すことが観察された。この事実は色素上皮が連続していても滲出性炎がおこりうることを示唆する。
(4)色素上皮の欠落はfibroblastを含む肉芽組織の侵入を許し,眼内肉芽化(増殖性炎)への契機となる。vitreous baseで特にこの傾向が強い。
(5)色素上皮は肉芽組織(fibrovascular tissue)の発生母体である間葉系組織(ぶどう膜)をおおう上皮であり,Behçet病末期眼特有の硝手体肉芽化には,以上論述した上皮としての性質が重要な契機として関与することが推論される。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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