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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科35巻9号

1981年09月発行

文献概要

印象記

第85回日本眼科学会総会印象記

著者: 松山道郎1

所属機関: 1大阪市立大学

ページ範囲:P.1405 - P.1433

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 本稿では第85回日眼総会(於千葉)第1日目(5月15日,金)午前に行われた一般溝演の中,網膜の部(1席〜12席)について印象をのべる。
 第1席佐藤佐内氏ら(山形大)のねらいは網膜剥離の病態を網膜下液中の酵素活性の立場から論じようとするもので,東北大水野教授等の研究がその基盤にある。今回演者らは実験的家兎網膜剥離眼を用い,網膜下液,脈絡膜,血清,前房水,硝子体等についてlysosomal enzymeの一つであるα—γ—fucosidaseのisozymeについて分子量の差を考慮して検索した。その結果網膜下液中に同酵素活性を証明し,それは血清,前房水および硝子体中のものと同じパターンを示し,RPE中のものとは異なり,網膜下液中に存在する酵素はRPE細胞やmacrophageの崩壊により游出されたものでなく.いわゆるlivingcellより分泌されたものであろうとし,網膜剥離の発生,進展に関与しているものと推論した。これに対して東北大より.肝臓をRPEと同じレベルで論じてよいか,fucosidase分泌とRPE崩壊との関連について質問があり,また毛様体の方がRPEより活性が高いとの追加があった。網膜剥離の機講をさぐる先端の研究と思われるが,さて臨床の場でどのように理解すべきか首をひねりながら拝聴した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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