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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科35巻9号

1981年09月発行

文献概要

臨床報告

Paracentral serous chorioretinopathyを併発したfundus albipunctatusの1症例

著者: 林倫子1 藤岡孝子1 近藤武久1

所属機関: 1神戸中央市民病院

ページ範囲:P.1536 - P.1540

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 Fundus albipunctatusに傍中心性網脈絡膜症を併発した症例を報告した。症例は34歳の男性で,飛蚊症のため精査を希望し来院された。眼底には,大きさ一定の黄白色小斑点が,黄斑部を含む後極部から赤道部まで散在していた。諸検査の結果,典型的なFundus albipunctatusの症例と診断された。
 定期的に経過観察を行っていたところ,初診から1年3カ月後に,耳側赤道部に限局性の漿液性網膜剥離をきたし,螢光眼底造影にて,その部に1個の点状螢光漏出点が認められた。アルゴンレーザー光凝固を行い,症状は軽快した。
 Fundus albipunctatusの病理組織学的な検索はこれまでになされていないので,この疾患の本態については憶測の域を出ない。螢光眼底所見から網膜色素上皮の障害は論じられていたが,本症のようにneuro-sensory retinaの限局性剥離を併発する例があることは,本症の本来の病変である斑点の存在,あるいは色素上皮の変化の拡大により,色素上皮のbarrier機能に破綻を生ぜしめたことが推定できる。
 Fundus albipunctatusにこのような2次変化を来たした症例報告は,これまでにないが,本症例も病巣が黄斑部から離れているために自覚症状を欠き,定期的な眼底検査で偶然発見されたものであった。詳細な眼底検査により,同様な変化の検出は,もっと高率にみられるものと期待される。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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