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臨床報告
後頭葉病変による視覚障害について
著者: 白川弘泰1 本田孔士1
所属機関: 1京都大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.1541 - P.1545
文献購入ページに移動 我々が最近3年間に扱った患者で,初診時,量的視野計測にて,同名半盲を認めた66例中,CT像にてその原因が後頭葉病変によると診断された22例について種々の検討を加えた。その結果,本症は循環系疾患の既往歴を持つ50歳代の男性に発症例が多く,大部分は発症前に何らかの虚血性の前駆症状を示すことがわかった。また,精神症状やAnton微候の合併は病変の側頭葉や頭頂葉への拡がりに密接に関連し,後頭葉のみに限局した症例にはみられなかった。原因疾患としては脳血管硬塞が約2/3を占めた。予後については保存的治療例中4例が改善を示し,うち2例は黄斑回避を伴う中大脳動脈閉塞であり,全例発症後3カ月以内に改善した。これは病変範囲が比較的小さいことと,脳浮腫改善,吻合血管発達,閉塞血管再疎通などに要する時間とに関連するものと思われる。改善例の視野欠損の程度は必ずしも病変の拡がりと一致しなかったが,この点については,今後,視野と皮質との立体的対応関係の検討が必要と思われる。
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