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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科36巻10号

1982年10月発行

文献概要

招待講演

華陀—中国の外科の父

著者: 陳燿真1

所属機関: 1中華眼科学会

ページ範囲:P.1219 - P.1221

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 中国で華陀(図1)は外科の父と呼ばれている。華は姓で陀は名であるが,ほかに勇という名もある。華陀は成人した後もまた字を元化とつけた(註:ほとんどの中国人は複数の名前を持っている。その理由としては名前が一つのみでは貧弱に見え,複数の名を持っていると裕福に見えるということであろう)。華陀の本籍は沛県の譙であるが,現在の地図によると譙は安徽県の毫という所にある。華陀は現在の安徽,山東,江蘇まで足をのばして勉強し,そのあと医学経験を身につけた。現在,華陀は徐州で勉強したことしか知られていない。「華陀は聡明で同時に勉強家であった。当時の華陀は相当尊敬されれ,学者の典型とされていた。
 華陀の幼時生活は不明であるが,伝説によるとある日華陀は山へ散歩に行った時,誤って小さい穴に落ちた。その時,突然彼の未来のことを話している声が聞こえてきた。華陀はさらに洞窟の奥へ進むと三人の老叟が見えた。そして華陀の将来について論議していた。以前から華陀は医者になるのにはどうすればよいか悩んでいた所だったので,三人の老叟にたずねると,中の一人はすぐ返事をして,「富豪と貧乏,階級の高い人と低い人を区別してはいけない。他人から金をもらってはならない。苦しみを辛抱し,老人,子供にやさしく」と華陀に話した。華陀はこの言葉に感激し,老叟に大変感謝し,「これからこの教訓を守る」と誓った。そして老叟は古い巻本を華陀に渡し,その後消えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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