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臨床報告
陳旧性網膜静脈枝閉塞症に合併した多発性の網膜裂孔の1例
著者: 浅原典郎1 浅原智美1
所属機関: 1厚生連熊谷総合病院眼科
ページ範囲:P.1259 - P.1264
文献購入ページに移動 陳旧性の網膜静脈枝閉塞症に合併した網膜裂孔の症例において,網膜裂孔の成因について考察した。
症例は69歳の女性であり,左眼の静脈閉塞部位より末梢の領域に6個の網膜裂孔が観察された。
詳細な眼底ならびに硝子体検査により,各裂孔は静脈閉塞後,網膜の循環障害により,網膜の萎縮,変性が生じ,脆弱化した網膜が後硝子体剥離により牽引されて発生したものと考えられた。
静脈閉塞症と関係ないと思われた,一見閉塞領域外に存在した周辺部の裂孔は,螢光眼底的に裂孔周囲の危細血管の閉塞所見がみとめられたことから,静脈閉塞症と関連性があるものと考えられた。
新生血管は網膜剥離の発生に重要な役割を演じているが,網膜裂孔の発生には必ずしも重要な要因ではないと考えられた。
本症例が網膜剥離にまで至らなかったのは,新生血管の形成がほとんどなかったため,網膜と硝子体との癒着,牽引の程度が少なかったためと推測された。裂孔形成と脈絡膜循環系との関連性については,今回言及しえなかった。
症例は69歳の女性であり,左眼の静脈閉塞部位より末梢の領域に6個の網膜裂孔が観察された。
詳細な眼底ならびに硝子体検査により,各裂孔は静脈閉塞後,網膜の循環障害により,網膜の萎縮,変性が生じ,脆弱化した網膜が後硝子体剥離により牽引されて発生したものと考えられた。
静脈閉塞症と関係ないと思われた,一見閉塞領域外に存在した周辺部の裂孔は,螢光眼底的に裂孔周囲の危細血管の閉塞所見がみとめられたことから,静脈閉塞症と関連性があるものと考えられた。
新生血管は網膜剥離の発生に重要な役割を演じているが,網膜裂孔の発生には必ずしも重要な要因ではないと考えられた。
本症例が網膜剥離にまで至らなかったのは,新生血管の形成がほとんどなかったため,網膜と硝子体との癒着,牽引の程度が少なかったためと推測された。裂孔形成と脈絡膜循環系との関連性については,今回言及しえなかった。
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