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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科36巻11号

1982年11月発行

連載 眼科図譜・300

広視野スペキュラーマイクロスコープによる角膜内皮パノラマ像とその特徴

著者: 大原国俊1 龍井哲夫1 大久保彰1

所属機関: 1自治医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.1332 - P.1333

文献概要

 ヒト角膜内皮細胞形態の観察に従来用いられてきたスペキュラーマイクロスコープに比し,近年開発された広視野スペキュラーマイクロスコープは一画面での観察範囲が広く,また検者が任意に観察部位を移動させて角膜内皮をscanすることによって角膜内皮のパラマ像が得られる17,26,33,39,45〜47)。この内皮像の特徴は,角膜中央部を中心とした半径約2〜3 mmの同心円状の陰影ができることで,接触塑マイクロスコープによる角膜圧平によって形成されると考えられるが,その成因の詳細は不明である。この同心円状の陰影と角膜中央部に表われる不定形のシワ状の陰影は同一眼では反覆観察時に再現性があるとされている47)
 図1と図2は片眼性の老人性白内障の60歳女性の左眼で,嚢外摘出術とShearingの後房レンズ移植を行った術後3ヵ月目と6ヵ月目の角膜内皮像を示した。撮影には広視野スペキュラーマイクロスコープ(Keeler甲南)を用い,患者に正面視を保持させ上下方向の内皮撮影を有っている。図に示されるように,角膜中央の垂直方向のパノラマ像の上下には同心円状の陰影の一部があり,中央部には不規則な樹枝状陰影が認められ,この陰影は3カ月目と6ヵ月目でほぼ同一のパターンと考えられる。これらの画像上の特微は,観察部位の位置を明確にし,また同一部位の同定と反覆観察を可能にする。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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