文献詳細
臨床報告
硝子体手術後の発症例を含む最近14年間の交感性眼炎
著者: 湯浅武之助1 多田玲1 山本保範1 山田光則1 下村嘉一2 中川やよい2 三村康男2
所属機関: 1大阪府立羽曳野病院 2大阪大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.1335 - P.1339
文献概要
初発病変は後極部剥離型が5例,乳頭周囲浮腫型が1例で,他の1例は受診時すでに遷延化していた。眼外症状は5例にみられた。全例が軽度ないしは高度の夕焼状眼底を呈するに至り,遷延例は脈絡膜の色素脱出が著明であった。視力は被交感眼については全例が発病前の状態まで回復したが,起交感眼は6例で0.2〜S.1.と著明な低下を遺した。発病前のステロイド投与はプレドニゾロン換算325mgに達したものが1例あったが発病を阻止できず,発病後は700〜1,700mgを1ヵ月間に投与されており,再発回数は遷延例をのぞいて0〜3回にとどまった。1例のみが起交感眼の摘出をうけたが,この手段は他例の治療成績からみて採るべきではないと考えられた。
顕微鏡手術の導入により穿孔性外傷にたいする手術手技が向上し,外傷による発病頻度は減少する一方,新しい手術術式の確立により種々の眼内手術後に本症が惹起される可能性のあることは銘記されるべきであり,その例として後部硝子体切除術後に発症した症例を示した。
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