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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科36巻11号

1982年11月発行

臨床報告

Sisomicinの点眼液としての安全性,有用性および術後感染防止効果の基礎的検討

著者: 井上須美子1 小川剛史1 近藤千代1 塩田洋1

所属機関: 1徳島大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1351 - P.1357

文献概要

 新しいアミノ配糖体系抗生物質sisomicin (SISO)が、細菌性外眼部感染症に対する汎用性抗生物質点眼剤の主薬としてどの程度の有用性があるかを予知するため,眼感染症研究会が推奨する方式にしたがって,前臨床試験を行った。
(1)0.3%SISO点眼液を1日9回5日間,家兎に点眼した。臨床的に眼に何らの異常もおこらず,点眼終了時に行った走査電子顕微鏡による角膜表層の検査においても異常は認められなかった。
(2)家兎角膜に,mucin添加法による緑膿菌の強力感染を行い,直後から0.3%SISO点眼液を1日9回2日間点眼した。緑膿菌性角膜炎の発症は完全に阻止された(食塩水点,眼による対照実験は陽性発症)。
(3)37例の患者の手術前無菌法として,0.3%SISO点眼液を1日5回20間点眼し,菌陰性化率は89.2%、有効係数(菌数減少率の逆数)は24.9であった。前者は70%以上,後者は10以上が合格と認定されている。
(4)0.3%SISO点眼液を,術前1日5回,2日間点眼して手術した103例(主として内眼手術)において術後感染は1例もおこらなかった。
(5)以上の結果から0.3%SISO点眼液は臨床治療試験に用いても安全であり,かつすぐれた汎用性抗生物質点眼液になりうる可能性が示唆され,また手術前無菌法や術後感染(緑膿菌を含め)の阻止に優れた効果を示すことが推定された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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