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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科36巻11号

1982年11月発行

文献概要

薬の臨床

アシクロビル®(ACV)の単純ヘルペス性角膜炎に対する治療効果の検討

著者: 塩田洋1 三井幸彦1 山根伸太1 北野周作2 中馬光2 内田幸男3 金子行子3 田中直彦4 佐々木隆敏4 泰野寛4 小林俊策5 寺西秀人5 徳田久弥6 有本敬三6 大石正夫7 永井重夫7 嶋田孝吉8 澤充8 原二郎9

所属機関: 1徳島大学 2日本大学 3東京女子医科大学 4横浜市立大学 5山口大学 6杏林大学 7新潟大学 8自治医科大学 9近畿中央病院

ページ範囲:P.1405 - P.1414

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 アシクロビル®(ACV)のヘルペス性角膜潰瘍に対する治療効果を,9施設の共同研究によって検討した。92例の患者を3%ACV軟膏1日5回点眼によって治療した結果,81例(88%)において潰瘍は14日以内に消失し,それらの例における潰瘍消失平均日数は5.8±3.40であった。一般的副作用としてはACV自身によると思われるものは1例もなかったが,細菌混合感染防止のため併用した抗生物質点眼液に刺激のあった者1例,ACV軟膏基剤による過敏性反応と思われるものが1例あった。びまん性表層角膜炎(KSD)は角膜ヘルペスの症状としてもおこり,潰瘍の治癒過程においても発生するものであるが,ACV軟膏点眼の副作用としても発生する場合もあることが推定された。しかしそのために治療が中断されたり,発生したKSDに治療を加える必要のあるような症例はなかった。
 これを要するに,ACVはすぐれたヘルペス性角膜炎の治療薬(抗ヘルペス剤)と考えられるが,欧米における驚異的な治療効果報告(99%の症例で10日以内に潰瘍消失,平均4.5日)に比べると,日本における成績はやや落ちるようにも考えられる。これらの問題は現在進行中のIDUとの二重盲検試験の結果をまって結論を出す予定である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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