薬の臨床
細菌性眼感染症に対するCefotiamの基礎的・臨床的検討
著者:
大石正夫
,
永井重夫
,
徳田久弥
,
戸塚とし子
,
嶋田孝吉
,
澤充
,
北野周作
,
秋野薫
,
内田幸男
,
金子行子
,
田中直彦
,
佐々木隆敏
,
原二郎
,
三井幸彦
,
塩田洋
,
中屋由美子
,
小林俊策
,
小寺健一
,
東堤稔
ページ範囲:P.1500 - P.1510
新しいセフェム系抗生物質,Cetbtiamの緑膿菌をのぞく細菌性眼感染征に対する基礎的・臨床的検討を行い,次の成績を得た。
(1)細菌性眼感染症74例中,除外・脱落の8例を除く66例において臨床効果を判定し,Cefotiam 1日0.5〜2gを1週間投与することにより,著効37例,有効26例,無効2例,不祥1例の結果を得た。有効率は,95%であった。
(2)疾患別有効率は,結膜炎,餅・腫,涙のう炎,眼瞼膿瘍,眼窩蜂窠織炎・全眼球炎,淋菌性膿漏眼ではいずれも100%,角膜潰瘍では91%,角膜炎および瞼板腺炎では75%であった。
(3)分離菌別有効率では,S. aureus,S. epidermidis,Corynebacterium sp. で,それぞれ,92%(11/12),96%(25/26),94%(16/17)であり,グラム陽性菌全体でも93%(56/60)と良好な治療効果であった。グラム陰性菌(11例)および嫌気性桿菌(6例)では,いずれも右効率100%であった。特に,特定菌感染例の5例(N. gonorrhoeae 1, Morasella sp. 3, H. aeg-yptius 1)では,著効2例,有効3例の成績であった。
(4)臨床分離のMoraselta lacunataおよびHaemophilus aegyptiusに対するCefotiamのMICを測定した結果,M. lacunataでは,CefotiamのMICは,<0.1~≧100μg/mlに分布し,0.2μg/mlにピークがあり,6.25μg/ml以下の濃度で,91%(39/43)の菌の発育が阻止された。