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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科36巻12号

1982年12月発行

臨床報告 カラー臨床報告

網膜動脈macroaneurysmの臨床像と治療

著者: 板垣隆1 宇山昌延1 糸田川誠也1

所属機関: 1関西医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.1476 - P.1483

文献概要

 最近3年間に網膜動脈に発生したmacroaneurysmを11例経験し,その臨床像,治療法について検討した。10例は高血圧症,動脈硬化症をもつ高齢者で,1例のみが46歳で慢性関節リウマチの患者であった。動脈瘤は全例乳頭近くの太い動脈に発生した。動脈瘤の破裂により眼底後極部に硝子体出血や広範囲の円盤状の濃厚な網膜出血をおこして,突然高度の視力障害を来たした症例が8例あった。硝子体出血の原因として,また老人性円盤状黄斑変性症との鑑別診断に本症の診断が重要になる。診断確定には螢光眼底造影が必須であるが,新鮮例で出血が濃厚であると出血によるmaskingのため動脈瘤が見えず,出血の吸収を待ってはじめて診断された。検眼鏡によって,動脈瘤は動脈の赤い球状の拡大としてみえた例よりも,出血巣内の小円形の黄白色斑としてみえた例が多かった。
 止血剤,出血吸収剤の投与によっても自然治癒傾向のない8例にアルゴンレーザーで動脈瘤を軽く直接凝固し,何ら合併症なく,全例平均2カ月で器質化に成功した。残る3例は凝固せずに自然治癒したが,平均8ヵ月を要したので,動脈瘤の自然治癒を待つよりも比較的早く動脈瘤の直接光凝固を行うのが治療としてすすめられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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