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臨床報告
網膜芽細胞腫の1例—特に腫瘍細胞と網膜色素上皮細胞のinteractionに関する病理形態学的検討
著者: 相楽正夫1 金成拓二1
所属機関: 1福島県立医科大学眼科学教室
ページ範囲:P.1485 - P.1491
文献購入ページに移動(2)初診時眼底検査上,耳側網膜を主座とする灰白色隆起性病変が観察され,超音波検査,CT-scan上,充実性腫瘤を示す所見が得られた。
(3)腫瘍が網膜の過半分を占めていたため,眼球摘出術を施行した。
(4)病理組織学的検索の結果,(i)光顕的には典型的なFlexner-Wintersteinerロゼットも観察され,ロゼット形成傾向の強い網膜芽細胞腫と診断された。(ii)電顕的には網膜色素上皮細胞と腫瘍細胞との間にZonula adherens類似の接着装置が観察されたことより,本腫瘍の脈絡膜への浸潤形式の一つとして,まず腫瘍細胞がこのような接着様式をもとに網膜色素上皮細胞に定着し,ついで破壊するという新たな機構が推測された。
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