文献詳細
臨床報告 カラー臨床報告
緑内障を合併したRieger's anomalyの2例
著者: 小野秀幸1 馬場さえ子1 近藤和義1 調枝寛治1
所属機関: 1広島大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.151 - P.156
文献概要
症例1は35歳の女で,両眼同程度に,Schwalbe線の前方移動,幅広い線維柱帯,密生する虹彩突起とSchwalbe線に達する虹彩前葉などの隅角異常が観察された。眼圧上昇は左眼のみであったが,右眼にも眼圧上昇の既往が推測された。
症例2は52歳の男で,両眼の著明なぶどう膜外反と,周辺虹彩前癒着が認められた。右眼のみに眼圧上昇をきたして,トラベクレクトミーを施行したが,術後1ヵ月頃より眼圧は再上昇した。
以上の2症例から,Rieger's anomalyに合併する緑内障について,つぎのことが示唆された。すなわち,
(1)緑内障は,生涯のどの時期においても発症しうる。
(2)壮年期に緑内障を発症する症例のなかには.一時期眼圧が上昇した後,自然寛解の経過をとる場合がある。
(3)同一症例では,隅角所見の程度と眼圧上昇との間には密接な関係はない。
掲載誌情報