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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科36巻3号

1982年03月発行

文献概要

臨床報告

糖尿病性網膜症とヘモグロビンA1との関係

著者: 半田幸子1 高橋祥子1

所属機関: 1相模大野診療所眼科

ページ範囲:P.189 - P.195

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 糖尿病者51名のヘモグロビンA1(HbA1)と網膜症との関連について検討し,次の結果を得た。
(1) HbA1は測定日から逆のぼって2ヵ月以内の早朝空腹時血糖(FBS)との間にr=0.65,P<0.01で正の相関があった。
(2)糖尿病者のHbA1は9.9±2.34%で網膜症の有無にかかわらず,健常者6.4±0.32%に比べ有意に高かった(P<0.01)。
(3) Scott分類(1953年)とHbA1との関係では,Scott 0〜Ⅱまでを軽症網膜症とし,ScottⅢa以上を重症網膜症としてHbA1平均値を比べると前者8.95±1.86%に対し,後苔10.8±2.38%とp<0.01で有意であった。
(4)単純型,前増殖型,増殖型の病変型分類では前増殖型のHbA1は11.22±1,83%と最も高く,次いで増殖型10.9±2.53%となり,いずれも単純型9.05±1.99%との間にP<0.05で有意差が認められた。更にこれら症例を罹患期間,FBSからみた血糖コントロール良否,肥満の有無,治療法等の因子を考慮して,各々の場合での網膜症の重症度とHbA1との関係を検討すると,増殖型網膜症(前増殖型網膜症を含む)者のHbA1は,単純型網膜症者のそれよりも有意に高かった。
 以上の成績はHbA1の増加がすなわち血糖コントロールの良否が糖尿病性網膜症の進展,増悪に直接関係がある事を示唆している。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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