臨床報告
膿疱性乾癬にみられた前房蓄膿を伴うぶどう膜炎
著者:
山本保範1
多田玲1
下村嘉一1
湯浅武之助1
所属機関:
1大阪府立羽曳野病院眼科
ページ範囲:P.217 - P.221
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皮膚科的に膿疱性乾癬(Psoriasis pustulosa)と確診された47歳男性に,両眼性の虹彩毛様体炎を合併し,右眼に再発性前房蓄膿をきたした症例を経験した。本患者は小膿疱を有する広範な紅斑局面を示す特徴的な皮疹を呈し,発熱,関節痛を伴う膿疱性乾癬として皮膚科にて経過観察中であった。この間に何らの誘因なく突然右眼の虹彩毛様体炎を発症し,治療にもかかわらず,前房蓄膿を認めるに至った。螢光眼底撮影では両眼に脈絡膜由来と思われる色素の異常漏出像を認めた。約1カ月後にはこの虹彩毛様体炎は軽快したが,この後も軽度の炎症の再発があり,約1年後には2度にわたり前房蓄膿を伴う虹彩毛様体炎の再燃を右眼にみた。この6カ月後には左眼にも虹彩毛様体炎が出現するに至り,その後も両眼に時々,軽度の炎症の再発を反復した。
膿疱性乾癬は皮膚の病理組織像などから,好中球の反応性亢進などの機能的異常が示唆されており,本症例においては前房蓄膿を伴う虹彩毛様体炎の反復がみられたことから,膿疱性乾癬は皮膚粘膜眼症候群として病因論的にBehget病と何らかの関連性が疑われ,今後の検討に興味深いものがある。