icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科36巻4号

1982年04月発行

文献概要

特集 第35回日本臨床眼科学会講演集 (その1) 学会原著

Hemi-central retinal vein occlusionについて

著者: 酒井寿男1 高橋秀雄1 川津容子1

所属機関: 1浜松医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.355 - P.360

文献購入ページに移動
 視神経乳頭を基底として眼底のほぼ半周以上にひろがる病変を呈する網膜静脈閉塞症を臨床的に検討した。これらでは乳頭上に網膜中心静脈幹が複数みられ,病変側静脈幹では循環がより遅延し,多くの例で乳頭内に側副血行路が形成されていた。1)視力予後,2)側副血管の様態,3)網膜毛細血管床閉塞を伴わないものが多く存在する,4)高血圧症との関連が少ない,5)虹彩ルベオージスを生ずるものがあるなどの点で分枝閉塞症の性質よりも中心静脈閉塞症に近い臨床像を示した。これらの症例で網膜中心静脈幹が企例で複数にみられたことから,その頻度を調べる目的で螢光眼底写真のファイルから343限を検討したところ21%に中心静脈幹が複数にみられた。Goldmann三面鏡を用いた290眼の観察でも21%に同様の所見をえた。角膜移植に使用された眼球の組織切片で視神経前部に中心静脈幹が複数あるものを確認した。以上のことから半分型網膜静脈閉塞症は中心静脈幹が複数存在する眼に生じた中心静脈閉塞症の一型であると結論した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?