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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科36巻5号

1982年05月発行

文献概要

特集 第35回日本臨床眼科学会講演集 (その2) 学会原著

糖尿病性網膜症者の血液性状

著者: 小原喜隆1 油井秀夫1 門屋講司1 波紫秀厚1 大村まゆみ1 一迫浄1 田沢豊1

所属機関: 1岩手医科大学眼科

ページ範囲:P.463 - P.468

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 糖尿病に合併する細小血管症の発生機序に血液性状の変化が関与していると考え,血糖値が安定している40〜60歳の外来患者を非網膜症糖尿病,単純性網膜症ならびに増殖性網膜症の3群に分け,血腋を血液レオロジー学的ならびに過酸化反応を指標とした生化学的に分析し,次の結果を得た。
(1)赤血球抵抗は抵抗幅が糖尿病群でわずかに増大していた。
(2)血腋浸透圧は糖尿病群で増大したが,その増大は増殖性網膜症群で明らかであった。
(3)血液粘稠度は糖尿病群で高い値を示し,特に増殖性網膜症群で著明であった。
(4)血清のvitamin E含有相よ糖尿病群で上昇したものの,β—リポ蛋白に対する含有量は単純性網膜症群でわずかに減少し,増殖性網膜症群では明らかに減少を示し,脂質のvitamin E保持能力が低下していた。
(5)脂肪酸組成は,血清ではC16:0, C18:1,C18:2が,赤血球ではC16:0, C18:0, C18:1,C18:2, C20:4が主要構成成分であり,血清ならびに赤血球共に糖尿病で不飽和脂肪酸が増加していた。
(6)血清の過酸化脂質は糖尿病群で上昇しており,対照群に比較してその上昇率は非網膜症群ならびに単純性網膜症群で約29.2%,増殖性網膜症群では35.6%であった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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