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特集 第35回日本臨床眼科学会講演集 (その3) 学会原著
シェーグレン病の眼科的治療に関する研究—第1報涙液膜のbreak-up timeおよび粘性剤点眼液の影響
著者: 宮川公博1
所属機関: 1岡山大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.567 - P.571
文献購入ページに移動 シェーグレン病における乾性角結膜炎の治療を目的として,粘性剤を含有する人工涙液を作製した。作製にあたり,患者の涙液膜を安定に保つため,最適粘性剤濃度を検討した。0%,0.1%,0.3%,0.4% hydroxyethyl celluloseおよび1%,3%chondroi—tin sulfateを点眼し,その前後の涙液膜のbreak-up timeを測定して検討を行った。従来のbreak-up time測定法では,涙液量の少ない乾性角結膜炎患者の涙液膜に影響が大きいため,必要最少量のfluorcsceinを使用する変法を用いた。
患者のbreak-up timeは正常者に比し有意に短縮していた。点眼後のbreak-up timeは粘性剤濃度の高いものほど延長していたが,0.3%と0.4%のhydroxycthyl celluloseでは有意差がなかった。3%chondroitin sulfate,点眼後は特に強く延長し,正常者と有意差が認められなかった。
シェーグレン病の乾性角結膜炎患者の涙液膜を安定に保つため,人工涙液には適量の粘性剤を含有させる必要がある。
患者のbreak-up timeは正常者に比し有意に短縮していた。点眼後のbreak-up timeは粘性剤濃度の高いものほど延長していたが,0.3%と0.4%のhydroxycthyl celluloseでは有意差がなかった。3%chondroitin sulfate,点眼後は特に強く延長し,正常者と有意差が認められなかった。
シェーグレン病の乾性角結膜炎患者の涙液膜を安定に保つため,人工涙液には適量の粘性剤を含有させる必要がある。
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