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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科36巻6号

1982年06月発行

文献概要

特集 第35回日本臨床眼科学会講演集 (その3) 学会原著

異常な臨床像を示した症例を含む急性出血性結膜炎の流行について

著者: 青木功喜 加藤道夫 大塚秀勇 石井慶蔵1 中園直樹1 宇田川素子1

所属機関: 1北海道大学医学部公衆衛生

ページ範囲:P.577 - P.581

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 1981年2月に一眼科診療所において2週間余の期間に臨床的に急性出血性結膜炎(AHC)と推定される84例の多発を経験した。このうち63例についてはウイルス分離と組血清による中和試験を行い,ウイルス分離は不成功であったが,血清学的にEV70感染と決定できた。
 この多発は血清学的所見および疫学的所見から同一伝播鎖によるものと推定できた。角膜潰瘍,虹彩炎を伴ったEV70感染としては異常と思われる症例が初発例であったことがまず注目される。次にアデノウイルス感染を血清学的に否定したうえで,少数であるが血清学的に低応答または無応答の症例が認められた。この多発において諸眼症状,耳前リンパ腺症の頻度を観察したが,若年者より60歳以上の高年者で低率で,殊にAHCの特微的症状である結膜下出血では有意差がみられ,特に高年者における不全型例の存在が指摘でき,感染防止などの面からも論じた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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