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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科36巻6号

1982年06月発行

文献概要

臨床報告

水俣病にみられるsquare wave jerks

著者: 石川哲1 向野和雄1 村田悦子1 山上晴子1 鵜飼一彦1 岡村良一2 皆良田研介2

所属機関: 1北里大学医学部眼科学教室 2熊本大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.659 - P.664

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 典型的な水俣病(MD)患者10例と,ほぼ同年齢の正常者10名について,赤外線光電素子を装着した眼鏡を利用し,固視微動を中心とする眼球運動をphoto-electricな方法で記録し分析した。固視標は横8mm,縦15mmの光源を眼前2mに置き,暗所,点灯,filter挿入により,対数的に固視標の光を変化させながら記録した結果,次のような事実が判明した。
 患者全例にsquare wave jerks (SWJ)が,暗所および明所でみられた。正常者で認めた例は10例中4名で,しかも3例は暗黒時のみ認められた。患者のSWJの持続時間(dura—tion)は正常者より有意に延長していた。頻数(frequency)は,正常者より頻発し,固視標の光が強くなれば増加する傾向を示した。また,振幅(amplitude)は,暗所においては正常者の2倍近くであり,固視標が明るくなるに従って,抑制されていく傾向にあった。今回最も興味のあった事実は,共働性ではないdisjugate SWJの検出である。1眼は大きなsaccadeの後,stair caseでfoveationを行うもので,他眼はそのsaccadeの向きは同じであるが,中心窩に戻る動きはsmoothな眼球運動成分に加えて,最後にfoveatingsaccadeで補正されるという,disjugateな運動である。この異常波形は10例中6例に認められた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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