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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科36巻7号

1982年07月発行

特集 第35回日本臨床眼科学会講演集 (その4)

学会原著

老人性白内障における糖および糖アルコールについて

著者: 藤原隆明1 尾羽澤大1 三国郁夫1 長尾玉子1 佐藤薫1 山本佑二郎2

所属機関: 1東海大学医学部眼科学教室 2千寿製薬(株)

ページ範囲:P.687 - P.692

文献概要

 当大学における白内障手術患者から凍結法によって摘出して得た水晶体80眼について水晶体重量,水分量,電解質(Na,K),糖および糖アルコール(Fructose, Sorbitol,Glucose, Inositol)およびうち30眼についてAldose reductase activityを測定し,次の結果を得た。
(1)成熟期(老人性および糖尿病性白内障)で著明なNa,Na/K比,含水率の上昇,Kの減少が認められた。水晶体重量はいずれも変化がなかった。
(2) Glucoseは成熟期に多く,未熟期に少なく,Inositolはこれと正反対の変動を示した。SorbitolとFructoseは未熟期に多く認められ,「老人」と「糖尿病」の比は2分の1〜3分の1であった。成熟期になるとSorbitolとFructoseはほとんど認められなくなった。
(3)未熟期「老人」にGlucose 50g経口負荷を行ったところ,水晶体中の糖および糖アルコールは,糖負荷を行わなかった症例に比し,有意差は生じなかったが,すべてに増加を示した。
(4)「老人」未熟期においては糖負荷の有無にかかわらず,水晶体内においてGlucose量の多いものほどFructose+Sorbitol量も多かった。
(5)水晶体Aldose reductase活性は成熟期には低下しているが,未熟期では「老人」に最も高く,有意差はないが「糖尿病」がこれに次いで高かった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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