文献詳細
特集 第35回日本臨床眼科学会講演集 (その4)
学会原著
老人性白内障における糖および糖アルコールについて
著者: 藤原隆明1 尾羽澤大1 三国郁夫1 長尾玉子1 佐藤薫1 山本佑二郎2
所属機関: 1東海大学医学部眼科学教室 2千寿製薬(株)
ページ範囲:P.687 - P.692
文献概要
(1)成熟期(老人性および糖尿病性白内障)で著明なNa+,Na/K比,含水率の上昇,K+の減少が認められた。水晶体重量はいずれも変化がなかった。
(2) Glucoseは成熟期に多く,未熟期に少なく,Inositolはこれと正反対の変動を示した。SorbitolとFructoseは未熟期に多く認められ,「老人」と「糖尿病」の比は2分の1〜3分の1であった。成熟期になるとSorbitolとFructoseはほとんど認められなくなった。
(3)未熟期「老人」にGlucose 50g経口負荷を行ったところ,水晶体中の糖および糖アルコールは,糖負荷を行わなかった症例に比し,有意差は生じなかったが,すべてに増加を示した。
(4)「老人」未熟期においては糖負荷の有無にかかわらず,水晶体内においてGlucose量の多いものほどFructose+Sorbitol量も多かった。
(5)水晶体Aldose reductase活性は成熟期には低下しているが,未熟期では「老人」に最も高く,有意差はないが「糖尿病」がこれに次いで高かった。
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