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眼科諸流派の秘伝書(8)
著者: 中泉行信1 中泉行史1 斉藤仁男1
所属機関: 1研医会
ページ範囲:P.828 - P.829
文献購入ページに移動古来,病に悩める人々の神仏信仰は殊に厚かった様であるが,そうした信仰の"場"となったのが神社や寺院である。眼科諸流派の中でも馬嶋流(明眼院),根来流(根来不動院),あるいは医王山高田寺,雲州一畑薬師の流派等,そこで創められたと伝えられる眼病治療も僧侶によるものが多く,寺社との関係も深かった様である。実相院流もそうした寺院等から興った流派とも思われるが,その伝えられる秘伝書「一流一巻」を掲出する。
この「一流一巻」という秘伝書は実相院流の秘伝を伝えたものであると巻末に書かれているが,実相院流についてはその起源,創始者等調査及ぼず明らかでない。ちなみに,大事典(平凡社)には摂家門跡の一つに実相院がある。その条下に『天台宗寺門派の大本山,実相院門跡,又は岩倉門跡と称す。京都府愛宕岩倉にあり,寛喜年間(1229〜1231)浄基の建立。浄基は関白近衛基通の曽孫,鷹司兼基の子で,出家して実相院と称し,天台の座主となった人』とあるが,本書と実相院流派との関係は審かではない。
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