特集 第35回日本臨床眼科学会講演集 (その5)
学会原著
電流刺激による瞳孔反応(Electrically Evoked Pupillary Reflex, EEPR)の臨床的応用
著者:
谷野洸1
堀内一郎1
栗原和之1
川澄正史2
所属機関:
1信州大学医学部眼科学教室
2東京大学医学部医用電子研究施設
ページ範囲:P.963 - P.968
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電流刺激により誘発される瞳孔反応(Electrically Evoked Pupillary R-eflex,EEPR)の反応量と周波数特性について正常被験者と視神経疾患患者において分析した。正常被験者において周波数特性曲線は18Hzに頂点を有する逆U字型を示した。片眼性視神経萎縮の1例において患眼刺激時には健眼のEEPRは得られないが健眼刺激時には患眼に良好なEEPRが観察された。球後視神経炎の活動期には周波数の全域においてEEPRの反応最の低下がみられ,周波数特性曲線の平担化がみられた。全般的な視機能の改善とともに反応量は増大し,曲線も尖鋭化した。視力不良な視神経疾患においてEEPRの反応量は低下し,特に高度な視力障害例ではEEPRの異常も著明である。
EEPRは眼底観察不能な眼における視機能の評価に有用であり,EEPRの周波数特性を分析することは視神経疾患の病態を理解する上に意義のある方法と考えられる。