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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科36巻8号

1982年08月発行

文献概要

臨床報告

周辺性ぶどう膜炎に伴って発症し,再発を繰り返したacute posterior multifocal placoid pigment epitheliopathy

著者: 金井清和1 宇山昌延1 越生晶1 桑原博子2

所属機関: 1関西医科大学眼科学教室 2大阪市柳田眼科

ページ範囲:P.999 - P.1004

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 片眼の周辺性ぶどう膜炎の治療中,他眼にacute posterior multifocal placoidpigment epitheliopathy (APMPPE)をきたし,さらに同一眼に2回本症の再発をみた54歳,女性の1例を経験した。
 全身的一般状態は良好であったが免疫学的異常がみられ,かつ風疹ウイルスに対する抗体価が赤血球凝集抑制反応にて異常な高値を示した。
 われわれは本症の病態は脈絡毛細管板の局所的閉塞による循環障害が主病変であって,網膜色素上皮の病変は二次的なものと考えた28)。さらに本例では慢性ぶどう膜炎が先行していたこと,APMPPEの発症時に前房,硝子体中に炎症細胞がみられたこと,乳頭の発赤をみたこと,および再三再発し,かつそれがステロイド投与によく反応したこと,患者血清に免疫学的異常がみられたことから本疾患の本態は脈絡膜の小血管のレベルに生じた免疫学的炎症であることが示唆された。
 本疾患の原因については諸説あるが,その本態を示唆する症例を経験したので報告した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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