文献詳細
特集 第35回日本臨床眼科学会講演集 (その6)
学会原著
交感性眼炎およびVogt—小柳—原田症候群における脈絡膜新生血管—病理組織学的研究
著者: 猪俣孟1 嶺井真理子1 谷口慶晃1 川田芳里2
所属機関: 1九州大学医学部眼科学教室 2国立小倉病院
ページ範囲:P.1023 - P.1031
文献概要
脈絡膜新生血管は交感性眼炎では鋸状縁付近に,Vogt—小柳—原田症候群ではとくに赤道部から周辺部にかけて認められた。いずれも脈絡膜の細胞浸潤が強いか,または炎症が長期にわたって持続した部位であった。綱辺部から鋸状縁付近は乳頭周囲および黄斑部とともにぶどう膜炎における脈絡膜新生血管の好発部位とみなされる。
ぶどう膜炎における脈絡膜新生血管は脈絡膜毛細管板から発生する可能性が強く,その発生誘因として,炎症細胞の浸潤によっておこる脈絡膜毛細管板とBruch膜の障害が関係しているものと思われた。
脈絡膜新生血管の発生と網膜色素上皮細胞の増殖との間に表裏一体の密接な関係が認められた。その前後関係として,脈絡膜新生血管が発生すると,それに続いて網膜色素上皮細胞が増殖して新生血管を取り囲む場合と,脈絡膜の炎症に対する組織反応として網膜色素上皮細胞が増殖し,それが2次的に脈絡膜新生血管の発生を促す場合の二通りの可能性が考えられた。
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