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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科36巻9号

1982年09月発行

特集 第35回日本臨床眼科学会講演集 (その6)

学術展示

網膜色素変性症の病勢進行を遅らせる目的で製作した眼鏡レンズの紹介(第1報)

著者: 戸塚清1 高山秀隆2 谷野洸3

所属機関: 1関東逓信病院 2日本光学眼鏡事業部 3信州大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1180 - P.1181

文献概要

 網膜色素変性症は,遺伝子の異常に基づく進行性の変性疾患である。古来多くの治療法が考えられているが,いずれもその効果は思わしくない。我々はこの疾患を全治させようというようなことは考えないが,進行性を幾分でも遅らせる方途はないかと考えた。このような観点のもとに,過去の文献を渉猟して行く中に,1眼を長期間被覆して置くと,病勢の進行が,まだ確証はないが,防げそうだという内容の幾編かの報告を見出した。すなわち動物実験では,たとえばラットで,そのロドプシンの最大吸収波長に相応する可視光を,連続して3日間照射すると,視細胞の外節と内節の分離現象が見られるようになり,これは非可逆的な変化である1,2)
 また人間では,ハーバード大学のBersonが,永年にわたって一つの信念を持って,この方面の研究を継続している。彼は初期の網膜色素変性症患者において,光を遮蔽すると網膜視細胞の変性の進行が緩やかになる可能性を示し,この考えに則って,不透明な強膜コンタクトレンズを作り,これを一つの治療法として,患者の1眼に装着して見た3,4)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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