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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科37巻1号

1983年01月発行

文献概要

眼科手術学会

難治性網膜剥離に対するシリコンオイル硝子体腔内注入の試み

著者: 安藤文隆1 三宅養三1

所属機関: 1名古屋大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.56 - P.60

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 増殖性硝子体網膜症,巨大裂孔をともなう網膜剥離,眼底後極部に円孔や裂孔の存在する網膜剥離などの難治性網膜剥離65眼にシリコンオイル硝子体腔内注入を試み,次の結果を得た。観察期間は4〜25カ月であった。
 シリコンオイルの注入は硝子体切除術と併用あるいは単独に行われた。注入時硝子体腔内をできる限りオイルで置換するよう心掛け,注入量は少なくとも2ml以上,通常3.5〜4.5mlであった。解剖学的復位率は後極部の部分的復位例4眼を含み,72.3%であった。
 術中の合併症には網膜出血,網膜裂孔形成,網膜下へのシリコンオイル迷入などがあった。術後合併症には白内障,オイルの前房への脱出,増殖性硝子体綱膜症(PVR)の増強による剥離再発,帯状角膜変性などが見られた。これらの重篤な合併症に加えて,眼内に注入されたシリコンオイルの安全性についての確かな証明は現在まだなく,このシリコンオイルはあくまでも安全な人工硝子体が開発されるまでの繋ぎの材料であり,現状では網膜機能を延命させる手段に過ぎないことを強調した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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