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抄録
第4回日本眼科手術学会抄録集(3)
著者:
所属機関: 1昭和大学上條講堂
ページ範囲:P.91 - P.98
文献購入ページに移動強角膜縫合に8-0ポリグリコール酸縫合糸(8-0デキソン)を使用した白内障全摘出術(四面切開法)の術後乱視の変化について検討した。症例は44歳から82歳までの54例63眼で,角膜の曲率をケラトメーターを用いて測定した。術前および術後約1週,4週,3ヵ月以降と4回測定できたものが50眼,術後4週以外の3回測定したものが13眼である。乱視の分類は便宜上,60°以上120°以下を直乱視,150°以上30°以下を倒乱視とした。術前の乱視の種類別では,直乱視が32眼(50.8%),倒乱視が27眼(42.9%),斜乱視1眼(1.6%),無乱視3眼(4.8%)であった。乱視の種類にかかわらず,ほとんどの症例が術後1週では直乱視化しており(55眼,87.3%),術後4週では倒乱視化し(47眼,94.0%),3ヵ月以降への乱視の変化は様々であり,術後3ヵ月以降の乱視の状態は直乱視9眼,倒乱視48眼,無乱視6眼となった。それぞれを術前の状態と比べると倒乱視化したものが53眼(84.1%)である。ポリグリコール酸縫合糸を使用して強角膜縫合を行った場合には,糸の融解につれて倒乱視化が起こるといわれており,我々の結果も同じである。また,術前と術後3ヵ月以降の乱視度の差についても,術後1週の時点で強く直乱視化したものとそうでないものとに分けて検討した。
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