特集 第36回日本臨床眼科学会講演集 (その2)
学会原著
後房レンズ挿入眼で観察した血液房水柵破壊とその交感性反応
著者:
三宅謙作1
朝倉当子1
三浦花1
所属機関:
1眼科三宅病院
ページ範囲:P.117 - P.121
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白内障乳化吸引後に,後房人工水晶体を挿入した眼の血液房水柵の破壊とその他眼の血液房水柵の交感性反応を術後1日,1週および4週において細隙灯式fluorophoto—metryで検討した。同時に,手術眼に局所投与したindomethacinのこれら柵破壊に対する効果も二重盲検的に調べた。手術眼ではindomethacinは術後1週と4週においてplaceboと比較して有意に血液房水柵の破壊を抑制したが,それらの他眼の交感性反応では検査全期間を通じ,placeboとの間に有意差を認めなかった。手術後1日,1週および4週で交感性反応の大きさを比較すると,術後1日が有意に大きかった。さらに術後1日の交感性反応は,手術眼の血液房水柵の破壊の大きさに比例した大きさで起こったが,術後1週と4週では手術眼の破壊の大きさとは無関係に起こった。手術に際して起こる血液房水柵破壊の交感性反応は,手術時の術眼の柵破壊の大きさが最も関連があるように考えられ,これが術後一定期間残存する症例があった。手術眼から他眼への交感性反応伝達のメカニズムについて二,三の考察を行った。