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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科37巻2号

1983年02月発行

特集 第36回日本臨床眼科学会講演集 (その2)

学術展示

網膜血管異常を伴うVitreoretinopathyの2例

著者: 鈴木美佐子1 松木恒生1 平井香織1 油井恵美子 近藤聖一2

所属機関: 1福島医科大学眼科学教室 2大原綜合病院

ページ範囲:P.212 - P.213

文献概要

 緒言瘢痕期未熟児網膜症類似の網膜血管形成異常とvitreoretinopathyを来たす疾患についてはいまだはっきりしたclinical entityが確立していないが,若年性網膜剥離との関連もあって興味が持たれるところである。今回我々は本疾患と思われる2症例を経験し,5年間にわたって経過観察できたので若干の文献的考察を加えて報告する。
 症例症例1は11歳女児。生下時体重は3,260gで酸素投与の既往はない。視力はV.d.=0.04(0.1×—10.0D),V.s.=0.1(0.2×−4.0D)で右方視時に水平性眼振が出現するが,前眼部・水晶体には異常所見が見られない。眼底は両眼とも軽度汚穢色で牽引乳頭が見られ,また網膜血管は柳枝状に分岐しながら直線的走行をなしている。耳側周辺での血管終末部は帯状に異常分岐してこれより周辺では無血管野となっており黄斑外方ではこの無血管野が後極部へ向かってV字型に彎入している。これらの変化は右眼に特に強く,さらに右黄斑外側部に至る領域に黄白色滲出斑,色素沈着,線維性増殖物が認められる(図1)。螢光撮影上,耳側血管終末部には色素の漏出,血管吻合が見られ,特に黄斑外側から周辺に至る領域では色素漏出,組織染が強い(図2,3)。後部硝子体は両眼とも完全に剥離し耳側と下鼻側に硝子体網膜癒着を認める。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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