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連載 眼科図譜・304
桐沢型ぶどう膜炎
著者: 中山正1 松尾信彦1 尾島真1 小山鉄郎1 間野ともえ1 清水慶一1
所属機関: 1岡山大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.260 - P.261
文献購入ページに移動1971年浦山,山田ら1)が最初に記載した桐沢型ぶどう膜炎は,片眼性で急性の激しい汎ぶどう膜炎として発症し,網膜動脈周囲炎と眼底周辺部に濃厚な滲出を認め,強い硝子体混濁を伴い,発病後2〜3ヵ月で網膜剥離をきたす予後不良の疾患である。最近になって欧米では,necrotizing vaso-occlusive retinitis2), bilateral acute reti—nal necrosis3)として網膜閉塞性血管炎を主徴とする類似の症例が報告され本症との異同が問題であるが,ほぼ同一スベクトルの疾患と考えられている4)。最近著者らは,発症後比較的初期の症例を経験し本症の典型的な眼底像をパノラマカラー合成写真として記録できたので供覧する。
症例は34歳女性(S.K.57-2837)。初診の10日前に左眼羞明,充血を自覚し某眼科を受診し前部ぶどう膜炎と高眼圧を指摘され当科に紹介された。初診時視力は矯正で右1.5,左1.0であったL眼圧は右17mmHg,左31mmHgであった。左眼は毛様充血が中等度で,豚脂様角膜後而沈着物を多数に認め,前房は細胞3+,フレア2+に見られた。左眼底は乳頭の境界は不鮮明で充血し6時の中間周辺部に出血を伴う黄白色滲出性病巣と周辺部全域に多数の点状滲出斑が見られた(図1a)。
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