文献詳細
特集 第36回日本臨床眼科学会講演集 (その3)
学会原著
文献概要
角膜の上皮から実質,内皮およびその後面に至るまでの種々の病変について,広視野スペキュラーマイクロスコープを用いた生体観察を行った。対象となった症例は瀰慢性表層角膜炎,糸状角膜炎,顆粒状角膜変性症,原田病および白内障全摘術後症例である。ローズベンガル染色を行った上皮病変は異なった染色性こと観察光への反射を示す細胞が認められた。顆粒状角膜変性症で角膜実質内の個々の混濁の三次元構造と配列が詳細に観察できる。角膜裏面沈着物には,微細な沈着物から大型の豚脂様角膜裏面沈着物に至るまでスペキュラーマイクロスコピー上で各々特徴的な陰影を示す。内皮パノラマ像からは,白内障術後の角膜内皮に角膜下方3mmから上方3 mmの範囲で,内皮形態に部位差のある症例を示した。同一内皮部位の経時的観察により,内皮モザイク像には細胞間で離解と接合を認めるモザイクパターンの変化が生じていることが示された。広視野スペキュラーマでクロスコピーは,角膜前面から裏面にいたる病変を観察することができ,広く臨床応用の可能なbiomicroscopyであると考えられた。
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