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特集 第36回日本臨床眼科学会講演集 (その3) 学会原著
網膜色素変性症の超微形態所見
著者: 水野計彦1 星野元宏1 三宅養三1
所属機関: 1名古屋大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.315 - P.319
文献購入ページに移動病理学的所見では視細胞はほとんど消失しており,黄斑部にわずかに残存していた。残在する視細胞では外節が全く消失し,内部が直接色素上皮と接していた。周辺部ではミュラー細胞と色素上皮細胞の突起がよく発達し視細胞をおおっていた。視細胞核の周辺原形質には電子密度の大きな顆粒を多数含むライソゾームが出現していた。色素上皮細胞も網膜全体にわたり変性や萎縮が著明に認められた。そこではメラニン顆粒の減少とリポイド顆粒の高度な増加がみられ,他方で滑面小胞体が著しく発達し,ミエリン様構造を含む集塊を形成していた。またミトコンドリアも発達し密集した部位もあった。ブルッフ膜には高齢の症例でよく観察される小空胞,膠原線維および幅の広い縞構造がみられた。
脈絡膜毛細血管は黄斑部を除いてほとんど消失していたが,残存部分ではほとんど異常がなかった。網膜内層では内顆粒層の高度の変性および神経節細胞の変性と細胞数の減少が顕著にみられた。網膜毛細血管は内皮細胞の肥大と管腔の狭窄および基底膜の著しい肥厚を示し,周辺には色素顆粒を含んだ細胞がみられた。以上の結果は生前の電気生理学的検査の結果とよく対応していた。
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