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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科37巻3号

1983年03月発行

特集 第36回日本臨床眼科学会講演集 (その3)

学会原著

卵黄状黄斑変性症の臨床像

著者: 板垣隆1 宇山昌延1

所属機関: 1関西医科大学眼科教室

ページ範囲:P.343 - P.349

文献概要

 卵黄状黄斑変性症の3症例を観察した。症例は12歳,30歳,46歳で,sporapic caseと思われ両眼羅患していた。第1例は卵黄様病巣をもつ嚢腫期から5年間の観察中にscrambled eggを示す嚢腫)崩壊期を経て変性萎縮を示す瘢痕期へ進行した。策2例は卵黄様病巣にscrambled eggと色素沈着を伴った嚢腫の崩壊期から瘢痕期へ移行しつつあった。第3例は,いわゆるpseudohypopyonを伴った著明なscrambled eggの限底を示し,他眼は結合組織増殖と,そこに螢光造影で網膜下新生血管がみられ,合併症が発生していた。
 細隙灯顕微鏡でみると,3症例とも病巣はすべて黄斑部網膜の深層にあり,黄斑部以外の網膜は正常で,周辺視野は正常,視力は比較的良かった。ERGは正常であったが,EOGに著明な低下をみた。螢光造影では卵黄様の嚢腫は低螢光であり,嚢腫が崩れてscrambled eggとなると過螢光を示した。
 この様に本症の典型的な所見は良く知られているが,多彩な眼底所見を示すので他疾患との鑑別診断が必要となる。診断にはコンタクトレンズによる細隙灯顕微鏡検査,螢光眼底造影,電気生理学的検在とくにEOGが有用であった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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