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Batten病の1例—検眼鏡的組織学的所見の比較
著者: 島田宏之1 田代忠正1 松井瑞夫2 大和田操3 北川照男3
所属機関: 1日本大学医学部眼科学教室 2城西歯科大学眼科教室 3日本大学医学部小児科学教室
ページ範囲:P.385 - P.393
文献購入ページに移動眼底は全体に黄緑色を呈し細い色素斑が散在していたが,後極部には約1/4〜1/2乳頭径の円形白色調を呈する萎縮病巣を多数認めた。
網膜の変化は周辺部まで広範囲に全層にわたり,神経節細胞は強く変性し,外節の消失,網膜色素上皮細胞の変性,消失とglia細胞の増殖が認められ,脈絡膜細動脈は内腔が狭窄していた。
検眼検的に円形白色調を呈し,螢光眼底造影にて脈絡膜循環の遅延を示す部位では,視細胞内節,外節,色素上皮細胞が消失し,ミューラー細胞がBruch膜と接していた。また,脈絡膜細動脈は封入体の蓄積により変性血管内腔は著しく狭窄し,脈絡膜毛細血管板が減少していた。
これと対比して,網膜が黄緑色調を呈し,螢光眼底造影にて正常の脈絡膜循環を示す部位では,視細胞内節は残存し,外節は消失,網膜下腔には外節を貧食するマクロファージを認めた。また,色素上皮細胞は変性,重層耐化し,脈絡膜毛細血管板の内皮細胞の変性とfenestrationの消失も認められた。
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