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眼科手術学会
網膜剥離手術時の渦静脈障害によって起こる合併症
著者: 出田秀尚1 石川美智子1
所属機関: 1熊本市・出田眼科病院
ページ範囲:P.407 - P.411
文献購入ページに移動 1979年7月から82年6月までの3年間に行った網膜剥離手術516眼の中に,やむをえず渦静脈が切断されたり圧迫を受けたりしたことによって起こったと思われる合併症に二通りがあった。一つは硝子体出血で,渦静脈が3本と4本各々障害を受けた2眼に起こった。症状は重篤で,術後3ないし6日月から起こり,角膜浮腫,浅前房,前房出血,白内障を伴い予後は不良であった。他の一つは硝子体混濁で,渦静脈2本が障害を受けた3眼と,渦静脈1本が障害を受けた1眼に起こった。術後1週間目くらいから起こり,2週間目まで増大し眼底が全く見えなくなった。混濁は3ないし4週間で減少しはじめ,2ないし3ヵ月で完全に消失し,性質としては良性のものであった。
著者らのこの体験から,網膜剥離手術時の渦静脈の取り扱いについては次の注意を必要とすることがわかった。すなわち,3本以上の渦静脈には決して障害を加えてはならない。
2本に障害を加えると高率に硝子体混濁を起こし,1本の障害でも時に硝子体混濁を起こすことがあるのでこのことを頭において渦静脈を取り扱う必要がある。
著者らのこの体験から,網膜剥離手術時の渦静脈の取り扱いについては次の注意を必要とすることがわかった。すなわち,3本以上の渦静脈には決して障害を加えてはならない。
2本に障害を加えると高率に硝子体混濁を起こし,1本の障害でも時に硝子体混濁を起こすことがあるのでこのことを頭において渦静脈を取り扱う必要がある。
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